
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠中に呼吸が何度も止まることで、日中の強い眠気や集中力低下だけでなく、
高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの重大な病気のリスクを高めます。
当院では、SASのスクリーニングから精密検査、治療の導入・フォローアップまで一貫して対応しています。
こんな症状はありませんか?
- いびきが大きい、呼吸が止まっていると指摘された
- 日中に強い眠気を感じる
- 朝起きたときに頭痛がする、熟睡感がない
- 夜間頻尿や起床時の口渇がある
- 高血圧や糖尿病を指摘されている
検査の流れ
- 初診・問診: 医師が問診し、必要に応じて検査を提案します。
- 簡易検査: 自宅でセンサーを鼻や指に装着して一晩眠るだけで、呼吸や酸素濃度の異常をチェックできます。
- 精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査): 以前は入院が必要でしたが、現在はご自宅で実施可能です。脳波・呼吸・酸素濃度・心電図などを詳細に測定します。
- 治療提案: 検査結果をもとに、CPAPなどの治療をご案内します。
AHI(無呼吸低呼吸指数)とは?
1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数を示す指標で、重症度の判定に用います:
- 5~15回:軽症
- 15~30回:中等症
- 30回以上:重症
終夜睡眠ポリグラフ検査で記録する項目
- 脳波・眼球運動・筋電図: 睡眠の深さやレム睡眠を評価
- 呼吸・胸腹部の動き: 無呼吸の有無と種類(閉塞性・中枢性)を判定
- 酸素飽和度(SpO₂): 無呼吸時の低酸素状態を把握
- 心電図: 心拍数とリズムの変化を記録
- いびき音・体位: 睡眠時の姿勢やいびきとの関係を確認
保険適応について
検査・治療は健康保険の適用対象です。
かくれSASとそのリスク
日本の成人の約5人に1人がSASに罹患しているとされ、約8割が未診断です。
主な合併症とリスク上昇
- 高血圧:2.89倍(NEJM 2000)
- 心不全:2.38倍(Am J Respir Crit Care Med 2001)
- 脳卒中:2~4倍(NEJM 2005)
- 2型糖尿病:1.62倍(AJRCCM 2005)
- 心血管死:2.87倍(Lancet 2005)
死亡率との関係
- 未治療の重症SAS患者では、8年後の生存率が約63%まで低下することが報告されています(
Chest. 1988; He et al.)。
特にAI(無呼吸指数)20を超える患者では有意に死亡率が上昇します。
- CPAP治療により、心血管死リスクが55%減少することが報告されています (Lancet 2005; Marin et al.)。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)とは?
CPAP(シーパップ)療法とは、就寝中に鼻に装着したマスクから空気を送り続けて、喉の気道が塞がらないように保つ治療法です。
無呼吸を防ぐことで、睡眠の質を改善し、日中の眠気や高血圧、心疾患のリスクを軽減します。重症のSAS(睡眠時無呼吸症候群)に対して最も効果的とされており、 CPAPの継続使用により、心血管死リスクが55%減少するという報告もあります( Lancet 2005)。
- 主な効果: 無呼吸の改善、血圧の安定、日中の眠気や倦怠感の解消
- 使用方法: 寝るときにマスクを装着するだけで、ご自宅で毎日使用できます
- 副作用: 鼻の乾燥や圧迫感が出ることもありますが、調整で多くは解消します
「治療を続けること」が最も大切です。快適に続けられるよう、当院でもサポートいたします。
重症SASによる疾患リスク
※ 各疾患における重症SAS患者の相対リスク(一般人を1.0とした比較)
Epworth眠気尺度(ESS)
ESS(Epworth Sleepiness Scale)は、日常生活の中で「どのくらい眠くなるか」を自己評価する検査です。 睡眠時無呼吸症候群などのスクリーニングに用いられます。