
外科
当院の外科では、異物除去、粉瘤などの皮膚腫瘍、痔核治療など、幅広い疾患に対応しています。
「切り傷」「擦り傷」「やけど」「釣り針が刺さった」などの外傷処置や異物除去、
「粉瘤・膿瘍・ほくろ・しこり・皮膚腫瘍」などの摘出術、
痔に対するALTA療法や輪ゴム結紮術(RBL)など、患者様に応じた治療を行っています。
迅速な診断と処置を心がけており、局所麻酔下での日帰り手術も可能です。
異物除去(釣り針など)
当院では、釣り針などの異物が皮膚に刺さった場合の除去処置を行っています。特に地域特性上、釣り針による外傷が多く、迅速で丁寧な対応を心がけています。
- 無理に抜かず、そのままの状態でご来院ください
- 局所麻酔を使用し、安全に除去を行います
- 洗浄と必要に応じて抗生物質投与を行います

▲ 無理に抜かず、速やかに医療機関へ
痔核(いぼ痔)について
痔は大きく以下の3種類に分けられます。それぞれ原因や症状が異なります。
いぼ痔(痔核)
肛門と直腸の境目のまわりには血管が密集しており、ここがうっ血して膨らんでいぼ状になったものが痔核です。
肛門内にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」と呼びます。
主な原因: 排便時のいきみ、下痢、長時間の座位、出産時のいきみなど
主な症状:
- 内痔核:排便時の出血(シャーと勢いよく鮮血)
- 外痔核:しこりのような塊と強い痛み
切れ痔(裂肛)
便秘などで硬い便が肛門の皮膚を傷つけてできる痔で、特に20〜40代の女性に多く見られます。
主な原因: 硬い便や勢いのある下痢便による肛門皮膚の損傷
主な症状:
- 排便時の強い痛み(出血は少量)
- 慢性化で潰瘍・肛門狭窄を伴うことも
あな痔(痔瘻)
肛門周囲膿瘍が治癒したあとに、膿の通り道として瘻管が残る状態です。慢性的に膿が出続けることで生活に支障を来すことがあります。
主な原因: 肛門周囲膿瘍による細菌感染と膿の排出
主な症状:
- お尻の痛み、腫れ、発熱(急性期)
- 膿の持続排出、下着の汚れ、再発のリスク
内痔核の進行度分類(Goligher分類)
内痔核には、程度によりⅠ度からⅣ度までの4段階に分類されます(Goligher分類)。
分類 | 特徴 |
---|---|
Grade I | 出血のみ。脱出なし。 |
Grade II | 排便時に脱出するが自然に戻る。 |
Grade III | 排便時に脱出し、指で戻す必要がある。 |
Grade IV | 常に脱出しており、指でも戻らない。 |
治療の選択肢
症状の程度や進行度により、保存療法(生活指導・内服薬)から外科的治療まで選択されます。以下に当院で実施可能な治療法を紹介します。
ジオン注射(ALTA療法)
切らずに治療する注射療法で、主にGrade II〜IIIの内痔核が対象です。4段階注射により、痔核を縮小・退縮させます。局所麻酔で外来治療が可能です。
- 約1か月で出血や脱出が大幅に改善
- 日帰りで可能、痛みや出血が少ない
- 保険診療が適用されます
輪ゴム結紮術(RBL)
内痔核の根元に輪ゴムをかけて血流を止め、壊死・脱落させる治療法です。麻酔は不要または局所麻酔で対応可能です。
- 治療時間が短く、すぐに日常生活に復帰可能
- Grade I〜IIに適応。出血や軽度の痛みが出る場合あり
- 複数回に分けて施行することもあります
患者様一人ひとりの症状に応じて、最適な治療法をご提案いたします。お気軽にご相談ください。
粉瘤(アテローム)
粉瘤(アテローム)とは、皮膚の下にできる良性の袋状腫瘍で、袋の中に皮脂や角質などの老廃物がたまることで徐々に大きくなります。 放置してもがん化することは稀ですが、炎症を起こすと痛みや腫れを伴うことがあります。
原因
明確な原因は不明ですが、毛穴のつまり・外傷・ウイルス感染などが関連していると考えられています。 また、体質的に複数の粉瘤ができやすい方もいます。
主な症状
- 皮膚の下にしこりができる
- 中央に黒い点(開口部)が見えることがある
- 炎症が起こると赤く腫れ、痛みや熱感、悪臭が出る
- 内容物が出ると独特なにおいがある
炎症の特徴
粉瘤の炎症は細菌感染が原因ではなく、袋が破れて中身が皮下に漏れた際に生じます。 そのため抗生物質が効きにくく、切開による排膿が必要になることがあります。
治療方針
- 炎症がない場合:状態が安定しているうちに袋ごと摘出するのが理想的です(再発や炎症を防ぐため)。
- 炎症がある場合:切開排膿や必要に応じた抗生物質の投与を行い、まずは腫れや痛みを抑えます。
- 炎症が落ち着いた後:袋ごとの摘出を行うことで再発リスクを減らします。
- 摘出は局所麻酔で行い、日帰り手術が可能です。
- 保険診療で対応しており、傷跡にも配慮した縫合を行います。
ニキビとの違い
一見ニキビに似ていますが、粉瘤は自然に治ることは少なく、中にある袋まで取り除かないと、再びできてしまうことがあります。 自己処理で潰すと悪化する可能性があるため注意が必要です。
しこりが気になる場合は、早めにご相談ください。
小さいうちに摘出すれば、炎症や痛みを防ぎやすくなります。